弔辞とは、故人の死を悼み、弔いの気持ちを伝え、送る言葉です。故人と親交が深い場合に依頼されることが多く、もし弔辞を依頼された場合はできるだけ断らず、快く引き受けるのがマナーです。
つい固めの文章にすべきと思いがちですが無理に難しい言葉を使う必要はなく生前の思い出や故人の人柄を偲ばせるエピソードを自分なりの言葉でまとめ、聞いている人が聞き取りやすく理解しやすい言葉を選びます。
弔辞の書き方や基本
弔辞を書く際は大判の巻紙に薄墨を使って毛筆で書き奉書紙に包むのが基本ですが、近年では略式も増え便箋に万年筆で書き白い封筒に包む場合もあります。弔辞は読み終わったら祭壇に供え、ご遺族の手に渡るので、失礼のない様に丁寧に書きましょう。巻紙に書く際は、折りたたんだ時に文字が中央にくるように十分な余白を取り、「弔辞」と記します。十分な余白を取り、本文を書き始めます。文章の長さはゆっくりと読んで3分程度、長くても5分以内にまとめます(文字量 約800~1000文字程度)。この際に行間を詰めて書くと読みづらいので注意しましょう。本文を書き終えたら、再度余白を取って日付と記名をし、十分な余白を取って巻紙を切ります。
包み方は、奉書紙か巻紙で書いた場合は「弔辞」の文字が表面の中央に来る様に折りたたんだ後に更に奉書紙で上包みをした後、毛筆で「弔辞」と表書きをします。上包みをする奉書紙は半分に切ったものを三つ折りにし、左前になるように弔辞を包んだら上下を裏側に折ります。略式で弔辞を便せんに書いた場合は、表書きをせずに白い封筒に入れて持参します。その際「重ねる」という忌み事が入ってしまうので二重になっている封筒は使用しないようにしましょう。持参する際には男性は上着の内ポケットに、女性は袱紗で包んでいくのが良いでしょう。
弔辞の内容や注意点
弔辞は特別な形式で書かなければいけないという決まりはありません。故人への気持ちや思い出などを丁寧な言葉で書くのが一番です。導入は故人を悼む言葉から入り、故人の逝去を知った時の驚きや悲しみ、故人の人柄が伝わるようなエピソードや故人への感謝の気持ちなどを交えてまとめると良いでしょう。また、故人の経歴などを弔辞に入れる際は、間違えて失礼のないように遺族へ確認しておくと安心です。最後はご遺族へのお悔やみの言葉と、冥福を祈る言葉で結ぶようにしましょう。
また注意点として、お悔やみの言葉と同様に弔辞でも不幸が重なることを連想させる言葉や、直接的に「死」を連想する言葉は使わないなどの忌み言葉は避けるのがマナーです。「成仏」「供養」「冥福」などは仏教用語というように、信仰する宗教によって選ぶ言葉が変わる場合がありますので事前に確認する事が大切です。
弔辞の読み方や注意点
一般的な弔辞の流れは、司会者に名前を呼ばれたら霊前に移動し僧侶と遺族と参列者にそれぞれ一礼し、ご遺影に向かって一礼した後一歩前に出ます。包みを開いて弔辞を書いた紙を取り出し包みは弔文の下に重ねて左手で持ち、右手を添えて開き両手で持ちます。弔辞は参列者に聞きやすいよう、低めのトーンで故人に語りかける様に気持ちを込めてゆっくりと読みます。声を張り上げたり早口や棒読みは場にふさわしくないのでやめましょう。読み終えたら元の状態に包みなおして表書きをご霊前に向けて壇上に置きます。ご遺影に一礼した後に僧侶と遺族と参列者にそれぞれ一礼して自分の席に戻ります。