曹洞宗とは、鎌倉時代に宋から日本に伝えられた禅宗で、臨済宗・黄檗宗とともに日本三大禅宗の一つです。大衆から広く信仰され全国に多数の寺院数と信者数を持つ日本有数の仏教宗派です。
今回の記事では、曹洞宗についてご紹介致します。
曹洞宗とは
曹洞宗は、中国の禅宗五家の一つであり唐の時代の禅僧・洞山良价を開祖とします。今から800年ほど前の鎌倉時代初期に道元禅師が中国の正伝の仏法を日本に伝え、瑩山禅師の手によって日本全国に広められました。臨済宗の建仁寺で修業した道元は、宋に渡り天童山で曹洞宗の天童如浄により印可を受けました。1228年に帰国し京都に興聖寺を開きましたが、比叡山から弾圧を受け、1244年に越前国(福井県)に下向し永平寺を開山しました。その後、第四祖瑩山は多くの優れた弟子を養成し大衆教化にもつとめ曹洞宗の素地をつくりました。曹洞宗では、道元を高祖、瑩山を太祖として仰いで「両祖」としています。そして、本尊である「釈迦牟尼仏」と両祖を合わせて「一仏両祖」として仰いでいます。大本山は福井県吉田郡永平寺町にある永平寺と神奈川県横浜市鶴見区にある總持寺の二つで、曹洞宗寺院の信仰の根本となっています。かつては岩手県の正法寺、熊本県の大慈寺も曹洞宗の本山とされていましたが、1615年に永平寺、總持寺のみが大本山として定められました。曹洞宗の教えでは坐禅を行うことが重視されており、修行においても坐禅が中心に据えられています。これはお釈迦様が坐禅の修行に精進しその結果悟りを開いたことに由来しています。修行では坐ることによって心身を安定させ「身・心・息の調和」をはかります。曹洞宗は、現在日本において約800万人の信徒を持つとされています。日本では有数の宗教団体で約1万5,000の曹洞宗の寺院が日本全国にあります。
臨済宗の教えや特徴
曹洞宗の教えの根幹は坐禅です。お釈迦様が坐禅の修行により悟りを開かれたことに由来し、曹洞宗の坐禅はただひたすらに坐るという「只管打坐」です。坐禅する姿そのものが「仏の姿」であり、「悟りの姿」であるとされます。悟りのための手段として修行するのではなく、修行と悟りは一体のものだという「修証一如」の教えに基づいています。
- 読まれる経典
- 「正法眼蔵」「修証義」「般若心経」
- 「般若心経」「法華経」「大悲心陀羅尼」
- 「普勧坐禅義」「坐禅用心記」「伝光録」
- お唱えする念仏
- 「南無釈迦牟尼仏」
曹洞宗を始めとする禅宗では、繰り返し唱えるものはありませんが読経をはじめる前には「南無釈迦尼仏」と唱えます。「南無釈迦尼仏」とは「お釈迦様に帰依します」という意味です。
- 数珠のかけ方
- 手に持つ際は、一重の大きな輪をひとひねりし、
- 二重の状態にして、親指が左手の人差し指の上になるようにおき、
- 房を垂らして握るようにします。
- お参りする際は、手を合わせてお参りします。
- 焼香のあげ方
- 使用する線香の本数は1本だけ立てます。
- 曹洞宗の焼香の回数は2回。
- 仏前で仏像やお位牌をみてから合掌し、一礼し
- 右手親指、人差し指、中指で焼香をつまみ、
- 右手の下に左手を添えながら額におします。
- 香を静かに炭の上にくべます。(1回目にたく香「主香」)
- 2回目は、1回目よりも少量のお香をつまみ、額におさずに香炉に投じます。
- 2回目の香は「従香」と呼ばれ、省略されることもあります。
- 曹洞宗の行事
- 転読大般若
- 涅槃会
- 釈尊降誕会
- 両祖忌
- 達磨忌
- 成道会
- 仏壇の飾り方
- 中央にはご本尊として釈迦牟尼仏をまつり
- 右に「高祖承陽大師道元禅師」を
- 左に「太祖常済大師瑩山禅師」をまつります。
- これを「一仏両祖」の三尊仏形式とし、一本とした三尊仏の掛け軸もあります。
- また、右に達磨大師を、左に道元禅師と瑩山禅師をまつる場合もあるようです。
ご本尊についてはこちらで分かりやすくご紹介しておりますので併せて参考にしてください。
葬儀の特徴
曹洞宗の考え方は、「葬儀を行うことで故人が仏の弟子になる」というものです。その為に葬儀の前半では故人を仏の弟子にするための「授戒の儀式」が行われ、葬儀の後半では「引導の儀式」を行うことで故人を仏の世界へと導いていきます。
- 鼓はつ三通
- 三人の僧侶がシンバルのような形をした妙はちや手で持てる鳴り物の「引磐」、そして太鼓を使い「チン・ドン・ジャラン」と音を鳴らします。
- 引導の儀式
- 導師は線香またはたいまつを模した法炬により右回り、左回りに円を描き、故人を仏の世界に導きます。その後に払子をふるい迷いと邪気を払います。