葬儀の場では会社の取引先や関係者と顔を合わせる機会は少なくありません。ビジネスシーンにおいては挨拶として名刺交換をすることが一般的ですが、葬儀の場ではどうなのでしょうか。
今回の記事では、葬儀で名刺を渡す際のマナーについて詳しくお伝え致します。
葬儀における名刺交換
職場の取引先の葬儀などに参列した場合など、仕事の関係者と葬儀で遭遇することは珍しくはありません。ビジネスの場であれば挨拶をして名刺交換という流れになることが多いのですが、葬儀で名刺を手渡しても良いのかという点については結論からお伝えすると一般的には名刺交換をすることはマナー違反とされています。葬儀は、あくまでも故人の冥福を祈り弔意を表すために執り行われる儀式ですから、故人や遺族をそっちのけで参列者同士で名刺交換をするという主旨に反した行動は控えるべきでしょう。
ただし、取引先など職場の関係者に関係する葬儀や社葬に参列する場合は遺族に対し自身の身分を明かす必要があるため受付で名刺を渡す必要性も出てきます。社葬とは会社の社長や会長・役員といった会社に貢献した人に弔意を表すことを目的として行う葬式のことで、一般的な葬式とは異なり会社が主体となって葬式を進行することが特徴です。通常ですと家族や親族が営む葬儀と社葬は別に行うことが一般的で、社葬には会社の色が出ることが多いです。一般的に社葬には会社関連の人が多く参列します。社葬のように、自身の会社関連や仕事先の葬式に参列した際には名刺を持っていくことが多いでしょう。また上司が参列するはずの仕事先の葬式に参列の代理を任される場合があります。その際には上司の代理者として葬式に参列することになるため名刺の用意が必要となるのです。
葬儀に参列する際の名刺の渡し方
名刺は自己紹介や交換するために使用することが多いですが、葬儀の場面では自身の身分を相手に簡潔に伝えるために使用することがほとんどです。社葬といった会社関連の葬式では沢山の方が参列します。葬儀の受付の方は誰が誰なのか知っていなけらばなりません。その際に必要となるのが名刺です。ただし普段と名使い方が異なりますので注意が必要です。
葬儀の際には名刺をそのまま受付の方に渡すのではなく「弔」という文字を名刺の右上に書き記して渡すことが主流です。また「弔」を名刺に書かない場合には、名刺の左下を三角形になるように少し折り曲げてから手渡すとされています。弔の文字も記載が無く名刺に折り目もなければ、誰が参列したのか把握することが困難になりますので注意が必要です。また、名刺を手渡すのと同時に芳名帳へ自身の名前を書き記すことも忘れないようにしましょう。
葬式に参列する際には香典を持参しますからその際に名前と住所を芳名帳に記入していないと、遺族が香典返しをする際に誰から香典を頂いたのか把握できなくなってしまいます。したがって、芳名帳への記入は忘れないようにしましょう。
芳名帳への書き方には注意点があります。個人の参列ならば自身の名前と住所を書きますが会社や仕事関係で参列する場合は会社の住所と会社名の後に自身の名前を書くことが主流です。誰かの代理者として参列した場合は誰の代理者か分かるように記入します。
会社関連や仕事先の葬儀では、代理者として葬式に参列するケースもあるかもしれません。その際に気をつけなければならないことは名刺を二枚用意することです。一枚目はご自身の名刺を、そして二枚目は参列する予定だった人の名刺を用意しましょう。一枚目の自身の名刺には代理者として来ているので、右上のほうに「代」と書き込みます。また、二枚目の参列するはずだった人の名刺には右上のほうに「弔」と書き込むことが主流です。名刺への書き込みも代理かそうでないかによって変わってくるので気をつけましょう。会社だけではなく、家族の誰かの代理者として葬式へ参列することも少なからずあります。その際も芳名帳や香典帳にはもともと列席する予定だった人の名前と住所を書き記すことを覚えておきましょう。
また、葬儀の際に持っていく名刺の色で悩んでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、名刺の色に関しては特に決まりはなく何色でも問題はありませんので、新しく作る必要もありませんし普段使用している名刺を渡すようにしましょう。
その他の注意点
名刺を葬儀の受付で手渡した後は会社の人間として参列することを意識しておきましょう。葬儀に相応しくない行動をすると会社の評判まで落ちてしまう可能性も考えられます。特に、代理者として葬儀に参列する場合は誰かの代理者であることを自覚し、会社の看板を背負っている気持ちで葬式に参列しましょう。また、会社関連や仕事先の葬儀には、当然仕事で関わりのある人が多く参列しますが、その際に仕事の話や商談をしてしまいそうになる方もいらしゃるかもしれません。ですが葬儀とは故人との別れの時間でもあります。仕事の話をしたくなるかもしれませんが、葬儀の日くらいは控えた方が賢明と言えるでしょう。故人や遺族の気持ちを最優先した行動が肝心です。葬儀では可能な限り故人の冥福を祈り弔意を表すことに専念しましょう。