アクセル社の記事内でも度々ご紹介させて頂いている忌み言葉。忌み言葉というのは、縁起が悪いと受け取られてしまう言葉です。日常において普通に使っている言葉でも葬儀の場ではマナー違反となってしまいますので注意が必要です。以前もお伝えしましたが、今一度確認して知識をより深く蓄えておきましょう。
今回の記事では、忌み言葉の種類と言い換えについて詳しくお伝え致します。
忌み言葉その1:「続くことを連想させる言葉」「重ね言葉」
「重ね言葉」とは、意味を強める為に同じ言葉や同じ意味の言葉を重ねて使用した言葉を指します。重ね言葉だけでなく続く事が連想される言葉も同様に、葬儀の場では特に不幸が繰り返し重なるといった様に縁起の良くない出来事や不幸な出来事に繋がるとして忌み言葉とされています。日常ではよく口にする言葉が多いので意図せず口にしてしまう事も多いので注意が必要です。
- 「重ね言葉」の例
- 重ね重ね
- たびたび
- またまた
- 重々
- くれぐれ
- いよいよ
- ますます
- 返す返す残念
- 次々
- 「続くことを連想させる言葉」の例
- 再三
- 追って
- 再び
- 続く
- ひき続き
- また
- 重ねて
- 次に
重ね言葉は以下の言葉に言い換えることが可能です。
- 重ね言葉の言い換え
- 重ね重ね→深く
- たびたび→よく
- またまた→改めて
- 重々→とても・まことに
- くれぐれ→どうぞ・どうか・ぜひ
- いよいよ→ついに・ようやく
- ますます→一層・次第に
- 返す返す残念→誠に哀惜の念に堪えない・痛恨の極み
- 次々→息つく暇もなく・間断なく
忌み言葉その2:直接的な生死に関わる表現
死を直接連想させる言葉は勿論のことですが、生を直接表す言葉も葬儀の場では忌み言葉となりますので避けるようにしましょう。また、音が不吉な言葉として数字の「四」は死、「九」は苦を意味しますので避けます。「消える」なども命が消えてなくなるということを連想させるので避けましょう。それに伴い「苦しい」「辛い」「迷う」「うかばれない」「大変」「落ちる」という言葉もマイナスな表現となりますので注意が必要です。
また、とんだこと・とんでもないこと・めっそうもないといった言葉もやってはいけない事だと思われる場合もありますので驚きを表現しようと口にしてしまうのは控えるようにしましょう。
- 直接的な生死に関わる表現
- 死亡
- 死ぬ
- 急死
- 生きている頃
- 生きていた
- ご存命中
これらは以下の言葉に言い換えることが可能です。
- 直接的な生死に関わる表現の言い換え
- 死亡・死ぬ→逝去・永眠・旅立つ
- 急死→突然のこと
- 生きている頃→お元気な頃
- ご存命中→ご生前
忌み言葉その3:宗教・宗派ごとによっては忌み言葉となる表現
葬儀でよく使用される言葉の中には、宗教によって言葉を選ぶ必要があるものもあります。日本では大半の葬儀が仏式のため、普通の言葉だと思って使っていた言葉が「実は仏教用語だった」ということが多くありますので注意が必要です。
また、仏教の葬儀では、先に挙げた忌み言葉の他に「浮かばれない」「迷う」といった言葉も弔辞や挨拶にふさわしくないとされています。忌み言葉というとニュアンスが異なりますが「天国」という言葉も仏教では用いません。
同じ仏教でも浄土真宗の様に「冥途」という考えがない場合は冥福を祈るという言葉はマナー違反になります。浄土真宗の場合は「哀悼の意を表します」という表現が良いでしょう。
- 神道やキリスト教には不適切な仏教用語
- 冥福を祈る
- ご愁傷様
- 供養
- 成仏
- 往生
- 冥途
キリスト教では、故人が神や仏になるという考え方はなく、プロテスタントの場合は「召天」、カトリックの場合は「帰天」と言い、死者は神に召されるという考え方が基本にあるので、拝礼をするのも故人に対してではなく神に向かって捧げています。その為「お悔やみ」など一般的な仏教の葬儀で使う言葉は避けた方が良いでしょう。キリスト教の葬儀では「安らかなお眠りをお祈りします。」や「〇〇様の平安をお祈りいたします。」などの表現が良いとされています。
神道では、故人は命(みこと)として考える為、家の守護神として先祖の神々と一緒に祀っています。葬儀は「通夜祭」や「神葬祭」と呼ばれ、遺族へ挨拶する際には「御霊のご平安をお祈りします。」等の表現を使うと良いとされています。
更に、大切な方を亡くした遺族の悲しみは故人の年齢に比例したり関係するものではありません。「大往生」や「天寿をまっとうする」といった言葉を掛けている場面を見掛ける場合もありますが、本来であればこれらの言葉は遺族だけが使用できる言葉です。「大往生でしたね」「天寿をまっとうされて」と丁寧な表現を用いたとしても遺族にかける言葉ではないことに変わりありませんので注意しましょう。