享年と行年は、どちらも亡くなった人の年齢を指した言葉です。聞きなじみがあってもこれらにはどのような違いがあるのかなど詳しくは分からないという方も多いかと思います。
今回の記事では、享年と行年の意味や使い方について詳しくご紹介致します。
享年と行年について
まずは享年と行年の違いについて知る為にそれぞれについて詳しくみていきましょう。どちらも故人が存命していた歳月を意味しているので大きな違いはありませんので、特にどちらの表記をしなければならないという決まりもなく、位牌やお墓に記される際でも表記の仕方はさまざまです。
- 享年(きょうねん)とは
- 享年は「天から享(う)けた年月」という意味がありますので故人様が「この世に存在していた年数」を表します。享年には0歳という概念がないため生まれた年を1才として数えます。
- 享年は寺院に入れる墓や位牌などに使用されることが多くありました。日本には還暦や米寿などの節目に長生きしたことをお祝いする風習があり、長寿は良いことだという考えが故人の年齢を数える際にも反映され享年を刻むことが多かったようです。
- 行年(ぎょうねん)とは
- 行年は何歳まで故人が存命していたかを表す言葉といわれています。
- 行年は、霊園や墓地などで使用されることが多い傾向がありましたが、現在では厳密な決まりはないようです。
一見同じように見える享年と行年ですが「享年は生きた年月」「行年は生きた年」であるという点に違いがあります。このような違いから、享年を記載する場合は才をつけず「享年〇〇」、行年の場合は「行年〇〇歳」と記載するのが一般的な記載方法です。
しかし、江戸時代の文献などでは「享年〇〇歳」と記されているものもあり「歳」をつけるか付けないかという点については実際は厳密な決まりはないとされている場合もありますので、「歳」がついているついていないで必ずしも正解不正解があるという訳ではないという事も覚えておきましょう。
数え年の数え方と満年齢と数え年
生まれた年を一才として数える数え年は、満年齢に1をプラスすれば良いのではいいのではないかと思われがちですが、厳密には誕生日と年の変わり目で若干の違いがありますので注意が必要です。数え年は生まれた歳を1才とし、年が変わると1才年を重ねるという考え方ですので、例えば、2022年5月5日で満3才の子は、2022年12月31日までは数え年で4才、2023年1月1日から2022年5月4日までは数え年で5才ということになります。誕生日を迎えるまでは「満年齢+1才」・誕生日を迎えてからは「満年齢+2才」と考えると分かりやすいでしょう。
古来では満年齢の考え方がなかったため、古くから享年も行年も数え年で刻まれるのが一般的でした。数え年の考え方は仏教の教えから始まっており、正確には母親の胎内に赤ちゃんが宿ったときから年齢を数えています。つまり赤ちゃんがお腹の中で成長する十月十日も生きた年齢に入っており、生まれた瞬間に1歳を迎えると考えられているのです。これに対し、現代の0歳から数える満年齢は日本では比較的新しく取り入れられた年齢の数え方です。明治時代には年齢は出生日から起算するという法律も作られましたが、長寿が尊ばれる文化が強かった背景からか長らく数え年で数える考え方が一般的でした。その後、1950年に「年齢のとなえ方に関する法律」施行され、国や地方公共団体などで年齢を言い表す時には満年齢が使用されるようになりました。※宗教によっては数え年の書き方しか使わないこともあるようです。
享年と行年どちらを使えばいいのか
享年と行年には厳密な決まりはなく、享年の方が良いという方もいれば行年のほうが良いという方もいらっしゃいます。代々続くお墓に納骨する場合はそれまでお墓に入っている方々と書き方を合わせるのも一つの方法です。どちらを選んでも間違いではないので、寺院や葬儀社・周りの人と相談して決めてはいかがでしょうか。