大切な方との別れは辛く悲しいことですがその中でも、遺された方々がやらなければならない手続きや届け出がいくつかあり、その期限は待ってはくれません。
今回の記事では、死亡後にチェックしたい手続き関連について詳しくご紹介致します。
臨終後ただちに行うべき手続き
大切な方を亡くされた後は気が動転し、悲しみや辛さが一気に押し寄せてくるものです。冷静な対応や判断をすることが難しい状態にあっても、しかるべき対応をすることが遺された方々にとっての役割となります。臨終後ただちに行うべき手続きは以下の通りです。
- 臨終後ただちに行うべき手続き
- 死亡診断書の受け取り
- ご遺体の搬送・安置
- 死亡届と埋火葬許可申請
まずは「死亡診断書の受け取り」についてですが、大切な方が亡くなったら、まず医師から死亡診断書を受け取ることになります。死亡診断書は今後の様々な手続きに必要となる書類ですので、決して無くさないようにした上で何枚かコピーを取っておきましょう。また、病院で亡くなった場合にはその場で死亡診断書が発行されますが、ご自宅など病院以外の場所で亡くなった場合にはすぐに書類を受け取ることができません。検視など死因特定に必要な手続きを経て、死亡診断書に代わる死体検案書が発行されます。
続いて「ご遺体の搬送・安置」についてですが、例えば病院で亡くなられた場合には病院側から遺体の搬送を要求されます。病院にも霊安室はありますが数が限られていますので一人の方が長時間占領している状態は避けなければなりません。したがって、ご家族の皆様は「どの業者に搬送してもらうのか・どこに安置するのか」という点を速やかに決定しなければなりません。搬送してもらう業者と葬儀を執り行ってもらう業者が異なっても問題は無いのですが、費用面を考えると一社に選択したほうが賢明と言えるでしょう。
最後に「死亡届と埋火葬許可申請」についてですが、死亡診断書を受け取り、ご遺体を安置場所へ搬送したら行わなければならないのは死亡届と埋火葬許可申請の提出です。この2つは通常同時に手続きするもので、どちらも提出期限は7日以内です。埋火葬許可証がないと埋葬・火葬を行うことができません。葬儀後ご遺体を火葬場に運び火葬する流れになりますので、死亡届と埋火葬許可申請書の提出は葬儀前に必ず済ませておかなければならない手続きであることを頭に入れておきましょう。提出先は、故人が死亡した場所・故人の本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村役場窓口です。届出人の署名は親族が行う必要がありますが、提出は必ずしも親族でなくて問題ないので、多くの場合は葬儀社が提出の代行をすることになります。火葬許可証は火葬が終わると執行したことを証明する印が押され、遺骨と一緒に渡されます。その用紙は遺骨を埋蔵する際必要になりますので大切に保管しておきましょう。
死亡後必要な手続き
通夜・葬儀など、故人を見送るための儀式についてもご遺族が行わなくてはならないことのひとつです。葬儀には様々な形式がありますので、故人様並びにご家族の希望する式が執り行えるよう段取りを進めましょう。
葬儀関連で決めることについてまずは、葬儀社を決めるところから始まります。葬儀社が決まれば、葬儀の日程・会場・式の規模・予算・参列者の数・案内状・ご僧侶のことなど、葬儀社のサポートに従って決めていきましょう。亡くなる前に終活の一環として葬儀社を決めて相談をしておけば、慌てることなくご遺体の搬送や安置場所についても前もって打ち合わせし、任せることができますので大切な方の臨終後に慌てる必要がなくなり負担が軽減されます。
臨終時に葬儀社が決まっているかいないかで、その後の段取りが大きく変わってきます。実際に亡くなられた後は想像以上に慌ただしく冷静に物事を判断するのが難しくなります。死亡後だけのことを考えるなら事前に葬儀社を決定し、ある程度のことを決めておくのが理想と言えます。しかし、人の死は突然訪れるものです。たとえ病気療養中であったとしても、生きている内に葬儀のことを考えるのは不謹慎という気持ちもあるでしょう。葬儀社を決めるタイミングについては大変難しい問題ではありますが、いざというときに備え、落ち着いて行動できる準備をしておかれることをお勧め致します。
また、死亡届の提出以外にも、葬儀後には年金や健康保険関係などといった役所や会社を通してやらなければならない公的手続きがいくつかあります。
- やるべき公的手続き
- 介護保険資格喪失届…14日以内
- 住民票の抹消届…14日以内
- 世帯主の変更届…14日以内(故人が世帯主であった場合)
- 雇用保険受給資格者証の返還…1ヶ月以内(故人が雇用保険を受給していた場合)
- 所得税準確定申告・納税…4ヶ月以内(故人が自営業または年収2,000万以上の給与所得者の場合)
- 相続税の申告・納税…死亡日の翌日から10ヶ月以内(相続財産が基礎控除額以上の場合)
- 国民年金の死亡一時金請求…2年以内
- 埋葬料請求…2年以内(健康保険加入者の場合)
- 葬祭料・家族葬祭料請求…葬儀から2年以内(船員保険加入者の場合)
- 葬祭費請求…葬儀から2年以内(国民健康保険加入者の場合)
- 高額医療費の申請…対象の医療費支払いから2年以内(70歳未満の方で医療費の自己負担額が高額の場合)
- 遺族年金の請求…5年以内
上記の公的手続き以外にも、各種名義変更や民間の保険関係などの手続きがあります。相続については遺産分割が難航しそうな場合、相続税申告の期限まで忙しくなりますので、先延ばしにせず取り掛かりましょう。
- 生命保険・名義変更・相続などの手続き
- 遺言書の検認(遺言書が公正証書でない場合)
- 相続放棄…3ヶ月以内(相続財産をすべて放棄する場合)
- 生命保険金の請求…2年以内(生命保険に加入していた場合)
- 不動産の名義変更…相続確定後
- 預貯金の名義変更…相続確定後
- 株式の名義変更…相続確定後
- 自動車所有権の移転…相続から15日以内
- 電話の名義変更または解約
- 公共料金の名義変更または解約
- クレジットカードの解約…相続確定後
- 運転免許証の返納…死亡後速やかに
- パスポートの失効手続き…死亡後速やかに
その他の手続き
大切な方が亡くなった後は、様々な手続きを行うため役所に通ったり関係各所へ連絡したりしなければいけません。また、葬儀後に必ず発生する相続ですが、手続き方法が分からず戸惑う方も多いようです。相続とは、故人の権利義務一切の財産を、配偶者や子ども孫などが受け継ぐことであり、財産の多少にかかわらず手続きを行わなくてはなりません。相続が発生すれば、すべての遺産は相続人全員の協議のもと分割されます。相続人になる人や相続人に最低限保証される権利などは、民法で定められていますが、遺言があればその内容がある程度優先されますので、まずは遺言があるかどうかを確認しましょう。相続人全員の把握が難しい場合や、遺産分割協議が難航しそうな場合は弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。また、相続した財産の評価額が一定の額を超えた場合は相続税納付が必要です。相続税の申告は死亡を知った翌日から10ヶ月以内と決められています。期限内に税務署に申告書を提出し、確定した相続税額を納付しましょう。期限に間に合わなかった場合には納税額が増えることがあるので注意が必要です。相続財産の評価や相続税の計算は難しいものも多いので税理士に相談すると良いでしょう。
また、残された遺品の整理も、どのように処理すれば良いか迷う方も多いようです。故人様の荷物の整理・部屋の片づけや掃除などを行う遺品整理サービスを行う業者へ依頼するのも一つの方法でしょう。