永代供養とは、寺院や霊園が遺骨を預かり、様々な事情でお墓参りを出来ない方に代わり供養や管理を行ってくれる供養方法のことです。近年では、供養に対する意識の変化や管理継承者がいないといったような点からお墓を持たない供養方法として注目されています。
よく似た言葉に永代使用という言葉があるのですが、そちらは全く意味が異なってきます。今回の記事では、永代供養について詳しくお伝え致します。
永代供養とは
永代供養とは、様々な事情でお墓参りが出来ない方に代わり、寺院や霊園が遺骨を預かり供養してくれる仕組みのことです。永代供養のお墓であれば、寺院や霊園が遺骨を供養してくれる為、遺骨が誰からも供養されないといった状態は避けられます。永代供養は寺院や霊園が存続する限り続くものですから期限に関係なく遺骨の供養を任せることができますが、寺院や霊園が倒産してしまった場合などは供養は保証されませんから未来永劫ではないという事を念頭に置いておきましょう。
永代供養の利点としては、先にお伝えしたように寺院や霊園に供養や管理を任せられるという点がまずひとつめです。ただし、注意点として供養と管理は基本的に寺や霊園が行ってくれるのでご自身で管理をする必要がありませんが、管理先によっては供養の回数や頻度が決まっている事もありますので、故人の命日など希望する供養の時期がある場合などには事前に確認しておく必要があります。また、二点目の利点としては、新しくお墓を建てるよりも費用を抑えられるという点です。合同墓の場合は墓石代がかかりませんし、墓地の使用料なども安くなりますから、一般的な個人墓よりも安く利用することが可能です。また、宗派や宗旨を問われず誰でも利用することができるというのも利点のひとつですが、寺によっては檀家になることを条件としている場合もあるので事前の確認が必要です。最後に、永代供養を行っている寺院や霊園は比較的交通の便が良いところに立てられていることが多いく、多少駅から遠い場合であっても駐車場が完備されていることが多いですからお参りに通いやすい点も利点としてあげられます。
また、注意点としては永代供養は永代に渡り供養してくれるとはいえ、遺骨を個別に安置して供養してくれる訳ではないという点です。遺骨を個別に安置してもらえる期間は主に17回忌・33回忌など一定の期限が設けられており、一定期間が経過した後は多くの場合は合同墓や合祀墓と呼ばれる、他の遺骨と共同で埋葬され供養されます。この場合は他の人と一緒に骨を埋めることになるので、再び遺骨を取り出すことは不可能となります。親族に相談せずに決めてしまうと後々トラブルに繋がる可能性がありますから合同墓を検討するのであれば親族など周りの方々と相談した上で決めるようにしましょう。
永代供養と永代使用
永代供養という言葉に似たもので永代使用という言葉があるという点は冒頭にてお伝え致しました。この二つの言葉は全く意味の異なる用語ですからしっかりと確認しておく必要があります。まずは「永代供養」ですが、先にもお伝えしてきた通り寺院や霊園が続く限り遺骨の供養をしてくれる仕組みのことです。「永代使用」とは、寺院や霊園が続く限り墓地の区画を使用することができることを指し、基本的には永代使用という言葉は単体で使われることはなく、「永代使用料」や「永代使用権」といった使われ方をする場合が多いです。永代使用料とは、墓地を借りる際に支払う料金のことで、墓地代と捉えると分かりやすいでしょう。この永代使用料を支払うと寺院や霊園が続く限り契約した区画を使用することができます。
永代供養の種類や相場
永代供養がついたお墓の種類は大きく分けると、お骨を個別に供養する「分骨型」・お骨を他の方と一緒に供養する「合祀」の二種類に分けられます。合葬の場合は、最初から他の方と一緒の空間で遺骨を埋葬する形式で、個別に遺骨を安置される期間は全くありません。合葬の場合は最も費用負担が少ないことが特徴で一人当たりおよそ5万円~30万円程度が相場で納骨することが可能ですが、一度合葬すると二度と遺骨を取り出すことができなくなってしまいます。ですから、お墓にかける費用や管理の負担を最小限に抑えたい方や供養の仕方にあまりこだわりが無い方・墓じまいした後の納骨先を探している方などにはお勧めできる方法です。分骨型の場合は従来のお墓と同じように、個別で埋葬が可能なお墓のことを指し、個別安置をされる期間は定まっていますので17回忌や33回忌などの各寺院・霊園が定めた期間を過ぎると合祀される形式です。個別に安置するスペースが設けられる為に合祀墓よりは費用が高く、個別安置できる期間や墓標・立地などによって金額は変わりますが一人当たりおよそ20万円~70万円程度が相場となります。ですから、お墓を継承する予定はないが最初は家族のお墓として個別で供養したい方や初めから他の方と一緒に納骨されるのに抵抗がある方などにはお勧めできる方法です。
近年人気が高まっている「樹木葬」や「納骨堂」というお墓も、分骨型である永代供養に該当します。(※中には初めから合祀されるプランもあるので事前の確認が必要です。)樹木葬とは、樹木のもとに遺骨を収蔵するお墓で墓標が樹木の形式です。樹木葬の形式…桜の下に納骨する形式や西洋ガーデニング形式なのかなどについては霊園ごとに異なります。相場は合祀と比べ費用が高いですがおおよそ40万~100万円程度です。樹木葬の利点としては、墓石のお墓より費用が安い・永代供養のため後継者が必要ないという他の形式と同様の点に加え、一定期間は個別の石がある場合が多いという点や自然に還ることができる点が大きなポイントです。ただし、合祀墓と比べ費用が高いことに加え継承できない場合が多いという点には注意が必要です。続いて納骨堂ですが、建物のなかで遺骨を保管してくれる場所のことを指し、様々な形式があり主流のロッカー式の他にも仏壇式や自動搬送式(参拝スペースに自動で遺骨が運ばれてくるもの)などが存在します。合祀・樹木葬と比べ費用が高いことが多くおおよそ20万~150万円程度が相場です。永代供養のため後継者が必要ないという他の形式と同様の点に加え、建物のなかで遺骨を保管していますので室内の施設が多くお墓参りがしやすい点や交通の便が良好な場所に多いという利点があります。ただし合祀・樹木葬と比べ費用が高いことが多い事に加え継承できない場合が多いという点には注意が必要です。また、この他にも分骨型の永代供養墓のなかには、見た目が和型墓石そのものというものという形式も存在します。以前はあまり目にすることがない形式でしたが、近年では時代に合った「永代供養がついた一般墓」が増えてきているのです。個別の墓地区画と墓石が必要になる為、費用の相場はおおよそ100万円~350万円程度と一般墓を購入する場合と同じぐらいかかりますが維持や管理の問題に気を揉むこともないので「承継者はいないけど伝統的な和型墓石のお墓がいい」という方に人気です。
この様に永代供養といっても様々な形式があることをご理解いただけたでしょうか。どのような形式を選択するにあたっても、大切なのは故人の方を想い供養したいと思う気持ちです。それぞれの事情に合った方法で、悔いのないように供養することができると良いですね。