四十九日法要は、故人や遺族にとって大切な節目の法要になります。供物を持参する場合にはマナーを理解した上で準備したいものです。
今回の記事では、四十九日の供物マナーについてご紹介致します。
四十九日と供物の種類
まず初めに、四十九日について簡潔にお伝えいたします。四十九日とは仏教用語のひとつで「命日から数えて49日目に行う追善法要」のことを指します。仏教では人が亡くなるとあの世で7日毎に極楽浄土へ行けるかの裁判が行われ、その最後の判決の日が49日目とされています。従来は裁判が行われる7日毎に法要を行うものとされていましたが、現代では7日ごとに法要を行うことは難しい為、最初の裁判である「初七日」と最終裁判にあたる「四十九日」のみ法要を行うというのが一般的になりました。
四十九日の供物の種類については、供物は後に残らない消えてなくなる品、いわゆる「消えもの」が良いとされています。供物を選ぶポイントとして供物はかさばらず分けやすい物が適しています。その理由としては地域によっては供養の一つとして、持ち寄られた供物を最後に出席者全員で分け合う場合もある為です。ですから、最初から小分け包装されていない物や重たいものは避けた方が無難と言えるでしょう。食べ物を選ぶ場合には日持ちを重視しましょう。特に夏場は劣化も早いですから、果物であれば実の堅いもの、お菓子であれば賞味期限が最低でも1~2週間はあるものが良いでしょう。ここからは種類別に供物について詳しくお伝え致します。
- 花
- 花は、祭壇を飾るという大切な役割を担う為、お供えに相応しい品のひとつです。四十九日が過ぎるまでは白を基調とした淡い色合いの花がよく選ばれます。中でも白菊が最も無難ですが、故人の好きだった花を用意しても問題ありませんから近年では洋花を贈ることも増えてきている他、アレンジメントされた花を贈ることもあります。アレンジメントされた花は花瓶を用意する必要がなくそのまま飾れるという点でも多く選ばれるようです。また、手入れが不要で長持ちするブリザードフラワーや造花を使ったお供え用のアレンジメントもあります。
- お菓子
- 供物としてよく選ばれるのがお菓子です。和洋でもどちらでも問題はありません。故人が好きだったお菓子を用意する方が多く、また個包装になっているタイプが喜ばれます。これは、法要後に「御下がり」としてお供えされているものを参列者に配るケースがある為です。
- 線香・ろうそく
- 線香やろうそくもお供えの定番です。その煙は極楽浄土への道しるべともいわれ、仏事にも使用できるので遺族の方にとっても負担になりにくい供物のひとつです。近年では線香に香料が入っている物や煙の少ない物、ろうそくで食べ物などを模した好物ろうそく等、様々な商品が売られていますから、購入する前に遺族の好みを把握しておくと良いでしょう。
- 果物
- 果物をお供え物として持参する方も多くいらっしゃいます。果物はカゴ等に盛られているものを選択するようにしましょう。魂の形が丸いといわれていることに起因して果物の中でも、特にリンゴや梨・グレープフルーツ・メロンなどの丸い形状の果物が好まれます。果物の個数については、偶数は割り切れることから「故人との縁が切れる」とされることもありますので、奇数にするケースがほとんどです。死や苦を連想させる不吉な数字といわれる4・9を除いた5個~11個程度が目安です。
- お酒
- 故人が生前、お酒が好きだった場合にはビールや日本酒などのお酒をお供えすることもあります。しかし宗派や慣習によってはお酒を供物にする事は好ましくないとされる場合もありますので、事前に施主などに確認しておくと無難でしょう。
四十九日の供物を選ぶ際の注意点として、お花の場合にはバラ等の香りの強いものは避けたほうが良いでしょう。同じ理由で、果物も香りの強いものや傷みやすいものはお供え物に向いていません。お酒の場合には、故人の好きだった銘柄のアルコール類を供物とするのも良いのですが、宗派や習慣によっては注意が必要とお伝え致しましたが、他にも遺族がお酒を飲まない場合には処分にも困る為、避けることをおすすめ致します。また、仏教では基本的に殺生を禁じているので、肉や魚などの殺生を連想させる品も避けたほうが無難でしょう。ただし、どこまで厳格にするかは遺族やお寺の方針にもよりますから、故人の好みも考えどうしてもという場合には事前に相談してから用意すると良いでしょう。
金額の相場や渡し方について
供物の金額の相場については、故人と親しい関係だった場合には5,000円~10,000円程度、一般的な関係だった場合は3,000円~5,000円程度が目安です。供物の金額は高すぎてしまうと遺族に気を遣わせてしまいますし低すぎても失礼にあたります。親族間で既に金額を決めていたり、地域によっても違いがありますので周囲と相談しながら金額相場を決定するのが無難でしょう。
供物の包み方については、包装紙は派手でないものを選び、弔事用の熨斗を付けます。四十九日までは白黒、四十九日以降は双銀の結びきりの水引を使用します。ただし一部の地域では一周忌からは黄白の水引を使う場合もありますから地域の慣習に注意しましょう。熨斗の表書きは、四十九日であれば上段に「御霊前」と書くのが正式ですが、死後すぐ仏になると考えられている浄土真宗では「御仏前」と書きます。わからない場合には「御供・御供物」どちらかであればどの宗派でも対応可能です。下段には参列者の代表者名を名字もしくはフルネームで記入します。 夫婦で参列する場合には基本的には夫の氏名のみを載せますが、妻側の法要であれば妻の名前も併せて記入しておくのが親切でしょう。また、四十九日用は薄墨ではなく黒墨を使用して書くものとされています。熨斗は包装紙の上にかける「外のし」にしましょう。供物を渡す際には、自分で直接仏壇に置いてはいけません。施主に出迎えいただいた際に挨拶するのと同時に「御仏前にお供えして下さい」などの言葉を添えお渡しします。紙袋に入れて持参した場合には、紙袋ごと渡すのではなく中身だけをお渡しますが、風呂敷に包んで持参するとより丁寧です。その場合も風呂敷から取り出して中身だけお渡しするようにします。
供物を郵送する場合など
四十九日法要に参列できない場合には郵送で供物を渡します。郵送の場合には、郵送中の破れや汚れを防ぐ為に掛け紙の上にもう一枚郵送用の包装用紙を使用することがほとんどです。お店によっては包装紙やビニール袋など選べる場合もあるのでその都度相談してみると良いでしょう。四十九日の供物を送るタイミングについては一般的には法要の当日に自宅宛に郵送することが多いようですが、事前に遺族の方に「いつ・どこに郵送するのか」が好ましいか事前に伺うとより丁寧でしょう。お供えを郵送する際には、一緒に手紙を添えましょう。手紙には故人とその家族を思いやる文章を記し、季節の挨拶は入れずに、忌み言葉は使用しないように注意しましょう。封筒に手紙を入れる際には二重封筒は使いません。また、四十九日法要を少人数で行うこともあります。四十九日法要に呼ばれていない場合、お供え物は不要ですが、故人と深い関係だった場合送っても良いでしょう。