葬儀では遺族や参列者が静かに故人をお見送りすることが第一です。何事もつつがなく進行することが理想ですが、葬儀の依頼にあたりトラブルが発生するケースが実際に存在します。
今回の記事では、葬儀トラブルを避けるための知識について詳しくご紹介致します。
代表的な葬儀トラブル事例とは
国民生活センターや相談サイトへ寄せられる葬儀トラブルの中から、相談件数が多い代表的な葬儀トラブルとそれらに対する回避方法も併せてご紹介致します。
- 葬儀後に高額な追加料金が発覚
- 葬儀社と契約する場合、その葬儀社から見積書が提示されます。大抵の場合は契約者の方も葬儀社と綿密に話し合いを行い、その金額に定まり納得していることでしょう。しかし、いざ費用を支払う時に請求された金額をみると最初に提示された見積額を上回る金額を請求され愕然としたというトラブルです。
- こういったトラブルが発生する背景には、確認不足や一般の方にはわかりにくい見積書を提示する業者がいるという実態が影響しています。安いと思い依頼した葬儀プランの内容をよく見てみると、葬儀に必須な項目が別途費用として注意書きをされていることがあります。何に対しても言えることですが、オプションとなるような特別な項目(故人様の意思を尊重しプランにはないものを追加したいなど)で別途費用が掛かることはご遺族の方々も納得し費用をかけるでしょう。しかし、ここでお伝えするような事例では「必須な項目が別途費用」という場合に追加料金がかかる際に確認をしてこないような葬儀社というケースが残念なことに多いようです。葬儀の知識をもたない方に対し、分かりにくい見積りや説明、追加前提の葬儀プランを提示する葬儀社には気をつけましょう。
- 対処法として、葬儀プランとして提示されている葬儀のサービスの内容に葬儀で発生する費用が別途費用となっているかどうかをしっかり確認する必要があります。追加料金は不要なのか、どのサービスで追加料金が発生するかをわかりやすく明示し説明してくれる葬儀社を選びましょう。
- 葬儀費用を香典で支払うつもりが赤字になった
- 会葬者からいただいた香典で葬儀費用を支払えると思い葬儀を行ったところ予想よりも金額が集まらなかったというトラブルがあります。
- こういったトラブルが発生する背景には、香典で葬儀費用をすべてまかなうことは難しいということが一般的という事実を知らずに計算していたというケースが多いです。一般会葬者の香典の相場は3千円~1万円程度だと言われています。仮に会葬者が100人であったとしても一人1万円の香典を受け取ったとしても合計100万円ですから、100人規模の葬儀を執り行うとなると100万円で賄うのは難しいでしょう。
- 対処法として、香典で葬儀費用をまかなうことは一般的にはできないという事実を頭に入れておくことに加え、葬儀費用の自己負担額を減らすには参列者の人数を抑えた家族葬といった小規模な葬儀を選ぶという方法があります。
- 病院から紹介された葬儀社にしたら想像と違った
- 病院から紹介された葬儀社にした際に「葬儀内容が良くなかった・高額な葬儀代を請求された」といったようなトラブルもよく聞く事例です。
- こういったトラブルが発生する背景には、遺族の方が大切な方を亡くした悲しみの中で葬儀社を探す心の余裕がなく、病院から紹介されたからと他と比較検討などせずに葬儀社と安易に契約してしまうことが原因だと考えられます。病院から紹介される葬儀社が十中八九、悪質な葬儀社という訳ではありませんが、実際に判断能力が下がっているところにつけこもうというような葬儀社もいるというのが現実です。
- 対処法として、事前に葬儀社を決めておくか比較検討しておくことをおすすめ致します。すでに決めている葬儀社がある、もしくは相場をある程度知っていれば、病院からすすめられた葬儀社と安易な契約を交わす必要はありません。また事前に葬儀社が決まっていなくても不安を感じるようでしたら丁重にお断りしましょう。
- 互助会関連のトラブル
- 互助会は結婚式やお葬式に備え毎月一定額の掛け金や会費を積み立てておくシステムです。
- この互助会を解約する際に高額な解約金を請求された・なかなか解約に応じてくれなかったといったようなトラブルや、立派な葬儀会館や会員割引が利用できるという利点もありますが、実際には葬儀費用が積立金を超えるケースが多いといったようなトラブルなどが多く見受けられます。
- 互助会に入るのであれば積立金の契約内容をしっかり把握しておきましょう。また、互助会では式場利用料や祭壇費用が高額な場合が多いので他社と比較して適切な金額の葬儀プランを選ぶようにし、解約の申し出になかなか応じてもらえない場合にはお住まいの地域の消費者センターに相談することも対策のひとつです。
上記以外にも、ご自分の宗派や菩提寺のことについての確認不足や勘違いによって、葬儀社の手配した住職が違う宗派だったというようなトラブルもあるようです。本来であれば葬儀社は適切な住職を手配しますが、ご自分の宗派や菩提寺のことについての確認不足や勘違いをされてしまうとこのような行き違いが発生してしまいます。
宗派が違うかどうかを確認するためにも、ご家族や親戚の方などにご自分の宗派や菩提寺のことについて確認しておくことも非常に大切です。
家族間で起きる葬儀トラブル事例とは
葬儀を行うにあたり、家族間でトラブルに発展してしまうことも少なくはありません。家族間でのトラブルを防ぐためにも具体的なトラブルの事例とその対処方法をあらかじめ知識として蓄えておくと良いでしょう。
- 葬儀形式の認識違い
- 近年の葬儀は様々な形式が存在します。ひと昔前までは「一般葬」がごく一般的でした。ご親族の方が多く世代や環境が違ければそれぞれが希望する(イメージする)葬儀形式も異なってくることでしょう。また、お焼香する際の順番などといったことについても後から不満を漏らされてしまうこともあるかもしれません。十人十色という様に葬儀に対する認識の違いによって、親族間でトラブルに発展してしまうことは大いに考えられます。
- こういったトラブルを避けるためには、事前に葬儀について経験のある身内の話を参考に親族同士で相談すると良いでしょう。「どのようなお葬式にするのか・焼香の順番はどうするのか」などをしっかり話し合うことでご親族の方全員が納得のいく葬儀を執り行うことができるでしょう。
- 葬儀費用の支払い
- 葬儀費用を誰が支払うのかといった金銭的なトラブルも少なくありません。葬儀費用は、一般的には喪主を務めた家が支払いますが、相続遺産から支払う、あるいはご親族の間で分担して支払うというケースもあり、分担する金額についての取り決めなどでトラブルに発展してしまうことが考えられます。
- こういったトラブルを避けるためには、葬儀形式や葬儀のオプション、支払い方法など葬儀費用についての細かい点を事前に話し合っておくことが大切です。分担する場合であれば割合を決めておき、立て替えるという場合であれば誰が負担するのかというように事前に話し合っておくべきことは多々あります。
親族全員が納得できる葬儀の形を探すとなると、現実は難しいことが多いかと思います。葬儀についてお悩みの場合は信頼できるプロである、葬儀社に相談してみてください。
葬儀トラブルを避けるためには
葬儀トラブルを避けるためには事前の準備がとても大切になってきます。ここでは葬儀での揉めごとを回避するため、事前に準備しておくと良い事柄についてご紹介致します。
- 葬儀社選び
- 葬儀社選びは慎重によく調べてから決定するようにすると良いでしょう。事前に口コミや評判を確認しておくことも大切ですが、実際に複数の葬儀社に同様の見積もり依頼をすることをお勧め致します。この様に調べて比較検討しながら葬儀社を探すには何かと手間がかかってしまいますが、その分納得できる葬儀を執り行えるでしょう。
- 時間に余裕があれば十分に比較検討は可能となります。いざという時に備え、事前相談などを利用し葬儀社を選定しておくのも良いでしょう。費用の内訳の明確さ・要望に真摯に向き合う担当者の姿など実際に葬儀を依頼する業者を目で見て選ぶことも適切な選択と言えます。
- 契約内容と見積もりの要確認
- 葬儀を執り行うにあたって契約をする際には、その契約内容やサービス内容について要確認しましょう。契約内容に含まれているオプションには有料のものが含まれている可能性がありますので、どのオプションにどの程度費用がかかっているのか等確認する必要があります。契約内容や見積もりで納得できない部分がないよう契約する葬儀社とはしっかりと事前に相談しましょう。
- また、火葬場使用料・葬儀社以外の人件費・他の業者に発注したドライアイス、飲食接待費用・搬送に利用する車両・その他返礼品等も加えて葬儀社とは別会社・団体が関与する費用である「実費費用」といわれるものが、契約書に小さな文字で別途費用が発生することが記載されている可能性もあります。追加料金前提で格安のプランを提示する業者、素人ではよくわからない見積書を提示する業者には注意する必要があります。そういった点をしっかりと説明せずに確認をしてこないような葬儀社は避けるのが賢明です。
- 家族や親戚への相談を怠らない
- 家族間の葬儀トラブルを防ぐためには、家族や親戚の方に葬儀についてあらかじめ相談しておくことも非常に大切です。葬儀を執り行う際には葬儀形式や葬儀のオプション、参列者へのお声がけ支払い方法など相談しておくべき事柄がいくつもあります。
今回の記事では、葬儀トラブルを避けるための知識についてご紹介致しましたが、万が一葬儀に関して契約した内容についての疑問に真摯に対応してもらえなかったり、トラブルに発展してしまったような場合には、地域の消費者センターに相談してみましょう。管轄の消費者センターがわからない場合は局番なしの「188」消費者庁の「消費者ホットライン」にて最寄りの消費者センターを案内してもらえます。
悪質業者がお客を食い物にするというような葬儀トラブルは悲しいことですが現実に存在します。葬儀に携わる機会はそんなに多くあることではなく、喪主を務める機会となると更に少なくなってきます。そのため、どうしても葬儀社と遺族の皆様との葬儀の知識や葬儀に関する費用等の意識の差は顕著になってしまうことが多くあります。もちろん、葬儀社として遺族の皆様に寄り添い配慮した料金設定や費用の明示の仕方を工夫する必要があります。ただ、すべての葬儀会社が悪質業者ではないように、すべての葬儀会社が安心安全な葬儀社という訳ではありません。より良いお葬式を執り行うために、故人様の最後のその時をより良く迎えるためにもお客様の方もすべて葬儀社や他人に任せるといった意識を改め、葬儀に関する知識の習得もいざという時のために行っておくと良いでしょう。