お通夜と葬儀・告別式はお葬式の一部ですが、それぞれに意味があり様式も異なります。
今回の記事では、お通夜のマナーについて詳しくご紹介します。

お通夜について

まず始めにお通夜の基本的な知識からご紹介致します。一般的にお通夜は夜18～19時頃から始まり、概ね2～3時間かけて行われます。時代の変化と共に形式は変わりつつありますが、心をこめて故人様とのお別れの挨拶を行う場所という点は変わりません。
お通夜の本来の意味や目的は、夜通し灯りを消さずご遺体を見守る儀式でした。葬儀・告別式の前夜に、親族や親しい友人などゆかりの深い人々が集い、故人様の冥福を祈り別れを惜しみ、遺族は夜通し灯明と線香の火を絶やさないようにしていたのです。

一般的にお通夜は故人様が亡くなった翌日に、弔問客を迎えて執り行い、翌々日に葬儀・告別式という日程が組まれます。しかし、実際にお通夜や葬儀・告別式の日程を決め際には、考慮しなくてはならない点も存在します。まずひとつは、死亡から火葬・埋葬までの時間です。火葬・埋葬は死後24時間以上経過した後でなければ行ってはならないと法律で定められていますので、その間はご遺体を安置する必要があります。もうひとつは、火葬場の空き状況です。火葬は葬儀・告別式の日にする流れとなりますので、葬儀・告別式は火葬場が予約できる日に限定され、それに伴いお通夜は火葬場の予約が取れた前日にということになります。火葬場は時期によっては混雑している場合があり、2～3日待たなければならないことも珍しくはありません。また、日本では六曜の「友引」の日の葬儀は避ける風習があり、気にしたりするかは人によりますが実際に友引の日は休業している火葬場もあるので注意が必要です。

お通夜には、死亡当日の夜に納棺して親族だけで行う「仮通夜」と、その翌日に一般の弔問客を迎えて行う「本通夜」があります。仮通夜は親族だけで故人を見守り、一緒に過ごすことが目的であるため基本的には何か宗教的な儀式などを執り行うということはありません。僧侶を招き読経してもらう場合もありますが、近年は省略されることがほとんどです。服装も、かしこまった礼服である必要はなく、一般的なマナーを守れば平服で問題ありません。

参列者側のマナー

お通夜に参列する際には、形式的なこと以外にも遺族にとって負担をかけたり失礼があったり等しないように気遣いを忘れないようにしましょう。お通夜は本来、遺族や近親者・ごく親しい友人など、故人と関わりの深かった方々が集い最後の別れを惜しみ、故人と遺族を慰めるために執り行われるものです。特に親しい関係でなければお通夜には出席せず、翌日の葬儀・告別式に参列することが一般的でしたが、近年では昼間に行われる葬儀・告別式よりも、出席しやすい時間帯に行われるお通夜の方に出席する方も多くなっています。また、通夜ぶるまいに誘われた場合には受けるのがマナーです。遠慮せず席に着き、ひと口でも良いので箸をつけましょう。ただし、あまり長居するのは禁物です。途中で退席する際には、周囲の方に「お先に失礼します」とひと声をかけるようにしましょう。

服装のマナーについては、正式礼装は遺族がする装いですので、一般会葬者はそれよりも格下となる準礼装や略礼装で参列するようにするのが望ましいです。突然の知らせを聞いて駆けつける場合は、黒でなくても濃紺や濃いグレーでもかまいません。女性は白いブラウスを避けましょう。また、香典については、相手の宗教に合わせた不祝儀袋に入れふくさに包んで持参します。宗教がわからないときは「御霊前」とするのが無難です。金額相場は、故人との関係や年齢・慣習などによって異なりますが、目安としては、友人や勤務先関係者なら5千～1万円、親戚なら1万～3万円程度でしょう。

遺族側のマナー

喪家の立場でお通夜や葬儀を執り行ったりする機会は、一生の内であって何度も経験することではありません。慣れないことが多く戸惑いも生じるでしょうが、流れとマナーを押さえ弔問客に失礼のないよう振る舞うことが大切です。

まずは臨終からお通夜までの流れを簡潔にご紹介致します。ご家族が臨終を迎えたら取り急ぎ、ご遺体の搬送を行わなくてはなりません。葬儀社を決めている場合は速やかに連絡しご遺体の搬送を依頼すると同時に、代々帰依しているお寺(菩提寺)がある場合は連絡をとり、お勤めをお願いしましょう。ご遺体を安置場所へ搬送したら、仏式の場合はご遺体の頭上に祭具を飾る「枕飾り」を設けます。お通夜の前に納棺を行い、棺の中には生前に故人が愛用していた品を入れてあげましょう。お通夜・葬儀までは以下を順次決めていきます。

順次決めていく事柄

お寺

喪主

葬儀形式・規模・場所

日程

すでに段取りが決まっているものについては進めていき、葬儀の準備や書類の提出などは葬儀社にサポートしてもらえる部分が多くありますので、事前に葬儀のおおまかな流れについて頭に入れておくと安心できます。

お通夜では、ご僧侶の読経、焼香に続き喪主・遺族・近親者が順に焼香します。その後、一般の弔問客の焼香へ移ります。弔問客は焼香の前後に遺族に対して黙礼しますので、遺族は座ったままでこれに応えます。焼香が終わり、僧侶が退席した後には喪主は弔問客に挨拶をします。挨拶では「参列へのお礼・死去の報告・生前のご厚誼への感謝」などを手短に言葉にするようにしましょう。最後には翌日の葬儀の案内をすることが一般的です。その後、弔問へのお礼のしるしとして、通夜ぶるまいの席に弔問客を誘います。通夜ぶるまいでは、お清めの意味で日本酒やビールなどのお酒を用意します。(新型コロナウイルス対策の影響から酒類の提供が中止されている場合もありますが問題はありませんので、会場の係員の指示に従いましょう)また、控室に戻ったご僧侶へのもてなしも忘れないようにしましょう。